宇宙産業の定義と全体構造

宇宙産業の定義と全体構造

宇宙産業とは、宇宙空間の探査・利用・開発を目的として構築された技術、サービス、インフラ、制度、ビジネスモデルの集合体です。

その構造は大きく3つに分類されています:

  • 上流セクター:ロケットの設計・製造、衛星の開発・組み立て、打上げサービス(例:MHI、SpaceX)

  • 中流セクター:軌道上の衛星運用、地上局との通信、軌道制御、データの取得・伝送(例:地上局運用事業者)

  • 下流セクター:取得された衛星データの解析・活用、各種サービスへの応用(農業、金融、防災、通信、保険など)

この分業構造は、他のインフラ産業(航空、電力)に類似しており、各セクターが密接に連携しながらも、それぞれ独立した事業モデルを持っています。

また、宇宙産業は民間企業、政府機関(例:JAXA、NASA)、大学・研究機関、国際機関(例:ESA)など、多様な主体によって構成されています。技術革新だけでなく、国家安全保障、環境観測、通信インフラといった公共性の高い目的にも貢献しています。

宇宙産業はその特性上、他産業に比して初期投資が極めて大きく、長期的な政策・予算・国際協調が不可欠です。また、宇宙空間という法的・技術的に未確立な領域を対象とするため、産業全体が高リスク・高レバレッジな構造を有しています。


用語集

用語 定義
上流(アップストリーム) ロケット・衛星・打上げなどの開発・製造段階
中流(ミッドストリーム) 宇宙機器の運用・地上通信・軌道制御など
下流(ダウンストリーム) 衛星データの活用や各種アプリケーション産業全般
LEO Low Earth Orbit(低軌道・高度200-2000km)
GEO Geostationary Earth Orbit(静止軌道)
デブリ 宇宙ゴミ。使用済み衛星や破片などの軌道上漂流物
官民連携(PPP) Public-Private Partnership。宇宙開発における国と企業の協力関係
商業宇宙(Commercial Space) 政府主導から民間企業主導への宇宙開発のシフト
ニュー・スペース スペースX以降の革新的な宇宙ビジネス潮流の総称

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