衛星
衛星(通信・地球観測・ナビゲーション・科学)
衛星は宇宙産業の中核をなす技術であり、民生・商業・学術・軍事の各領域で活用されています。機能別に見れば、通信衛星、地球観測衛星、ナビゲーション衛星、科学衛星などに分類され、それぞれが高度な技術的要求と運用目的を持っています。
(1) 通信衛星
通信衛星は、地球上の広範囲に無線信号を中継するために設計され、テレビ放送、インターネット、航空機・船舶通信などに不可欠です。
静止軌道(GEO)に位置し、地上からのアンテナ追尾が不要
通信事業者(例:Intelsat、Inmarsat)、または政府による公共インフラ整備に活用
近年は低軌道(LEO)衛星による通信(例:Starlink、OneWeb)が急成長
(2) 地球観測衛星(EO:Earth Observation)
地球の気象、環境、災害、農業、都市などを可視化するための人工衛星。
可視光・赤外・マイクロ波など多波長で観測(例:JAXAのだいち/ALOSシリーズ)
気象衛星(例:ひまわり)、災害監視衛星、環境モニタリング用途
リモートセンシング技術とAI解析の進展により、利活用が拡大中
(3) ナビゲーション衛星(GNSS:Global Navigation Satellite System)
全地球測位システム(GPS等)を構成し、精密な位置情報をリアルタイムで提供。
米国GPS、ロシアGLONASS、欧州Galileo、中国BeiDou、日本の準天頂衛星「みちびき」
自動運転、ドローン、農業機械、スマートフォンなど多用途に展開
- 高精度測位(cm級)を目指す「センチメータ級補強システム(CLAS)」が注目されています。
(4) 科学衛星・探査衛星
宇宙の起源・構造・天体の観測・探査を目的とした衛星。
例:X線天文衛星「ひとみ」、惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」
太陽観測、重力波観測、宇宙背景放射など基礎科学研究の鍵
他天体着陸や試料採取などで、有人探査に向けた先駆的役割も担っています
用語集
用語 | 解説 |
---|---|
GEO(静止軌道) | 地球の自転と同期し、地上からは常に同じ場所に見える軌道(高度約36,000km)。 |
LEO(低軌道) | 高度200〜2,000kmの軌道。地球観測や低遅延通信に適する。 |
リモートセンシング | 衛星や航空機から、対象に接触せずに観測・測定する技術。 |
GNSS(全地球測位システム) | GPSなど、地球全体で位置情報を取得可能にする衛星ネットワーク。 |
準天頂衛星(QZSS) | 日本独自の高精度測位衛星。ビル陰・山間部などでも安定測位が可能。 |
科学衛星 | 宇宙そのものの研究や新技術の試験を目的とした非商業衛星。 |
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